[2000.11.06]
  古びた机を捨てること


 ▼Toppling the Desktop(Technology Review)【英語】
  http://www.techreview.com/articles/nov00/montfort.htm


 ジョブズは,「マッキントッシュ」という言葉を,もう使わない。目の前にある装置は「マック」であり,「マッキントッシュ」ではない,という考えだ。そして,マッキントッシュOSはうち捨てられ,マックOSの登場。それが,マックOS Xとも云える。だか,人々はまだ,マッキントッシュOSへの依存から逃れられずにいる。

 マックOS Xによって,PCのデスクトップの見た目は征服されるかもしれない。アクアに彩られたOS Xを起動させたとき,デスクトップにそれほど急進的な変化は感じないが,よくよくみるとそれはあまり“机的”ではない。それは,新しいシステムであることがわかる。マッキントッシュの歴史に16年間なかったコマンドラインもある。

 マックOS Xのベータ版が使いにくいという意見は,おおむね,既存のマックOSへの「依存」だ。OS9までのシステム(ファインダー)は,忠実にリアルの机上(デスクトップ)をトレースしていた。ウインドーの使い方や,ひとつひとつのファイルの扱い方が,現実の机の引き出しやメモやノートのように感じるように,作られていた(ウインドウズは,DOSのシステムに現実の机の様式だけをかぶせたから使いにくかった)。その,トレース具合は,気持ちいいくらいわかりやすいもので,そんなシステムだからこそ,コマンドラインなんてあるはずがなかった。……そして今,マックOS Xは,OS9のデスクトップを,あっさりと捨てた。

 ユーザーの混乱は当然といえば当然だ。新しいノート(ディスク)を取り出したのに,そのノートが机の上に現れない(マウントされない)。アップルはそれを改善した。OS9の机的要素に戻した。箱(フォルダ)の中の箱を開けたのに,元の箱の中に中身が表示される。今までは別のフォルダで表示されていたのに,ということで,OS9と同様に別のフォルダで中身が表示されるようなオプションを加えた。人々のマッキントッシュ机に対する愛着の強さが,マックOS Xのシンプルさを歪めている。それでは,ウインドウズと同じになってしまうだろう。OS Xを使うのであれば,今まで使っていた机を捨てること,が,大事。新しい世界において,過去への依存は,病でしかない。


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